《戦術本》サッカー4-4-2戦術クロニクル
『隙を見せずに生真面目にカッチリやっておけば、運が良ければ格上に勝つことも可能。4-4-2はそういう戦い方には、うってつけな感じがします。』 ―――西部謙司
著者:西部謙司
ディエゴ・シメオネが就任してからのアトレティコ・マドリードや、2015-16シーズンにプレミアリーグで奇跡の優勝を成し遂げたレスターが最も多く使っていたフォーメーション、それが4-4-2です。この両者に共通しているのは、ジャイアントキリングを得意としていることです。
アトレティコ・マドリードは小さいクラブではないのですが、同じスペインのリーガ・エスパニョーラにいるバルセロナやレアル・マドリードのように超金満クラブというわけではありません。ましてや、レスターの場合は、数年前まで1部どころか2部リーグにいたクラブです。そのクラブが、リーグ優勝をしたわけですから、サッカーというスポーツは何が起こるかわからないのだなとつくづく思います。
この二つのクラブが成し遂げたことの価値は、リーグで優勝をしたという点にあると思います。つまり、一発勝負のトーナメント戦ではなくて、継続的に結果を出し続けなければならないリーグ戦での優勝なわけで、一時の運などでは成し遂げられないということです。
前置きが長くなりましたが、この2クラブが使っていたのが4-4-2というわけです。今回紹介する本の中でも、もちろんアトレティコ・マドリードとレスターのことを扱っています。これだけでも読む価値があると言えるでしょう。
ですが、タイトルにクロニクル(chronicle/年代記)とあるように、主な内容はこのフォーメーションの歴史・変遷です。1960年代のグランデ・インテルの頃からの話です。正直、昔のこと過ぎてよくわかりませんでした。軽く読み飛ばす感じです(笑)2000年代になると聞いたことのある選手の名前も出てきて、親近感です。
ただ、このように見ていくとサッカーの戦術にも流行り廃りがあるのですね。当然のことかもしれませんが、強い戦術に対して勝てる新たな戦術が編み出され、またその戦術に勝てる戦術が生み出される。時代の流れを感じます。
また、EURO2016についての考察や、日本代表の過去の変遷も載っています。EURO2016はまさかのポルトガルが優勝しましたね。中盤ダイヤモンド型の4-4-2を使っていたという印象もありますが、ポルトガルもジャイアントキリングを成し遂げたと言えるでしょう。
まだ決まってはいませんが、日本代表も2018年のワールドカップに出場するとなれば、格上との対戦ということになります。どのような戦術、戦い方で挑むのか楽しみではあります。
面白い本なので、ぜひ見てみると良いかと思います。
サッカー4-4-2戦術クロニクル [ 西部謙司 ] |
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