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サッカー戦術本 レビュー

サッカーの戦術に関する本を紹介!

《戦術本》サッカー 観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点

観戦力が高い人は、たくさんのものを見ているわけではない。見るべきタイミングを知り、見なくてもいいものを削っているから、頭の中がスッキリし、独自の視点が生まれるのだ。』 ―――清水英斗

 

著者:清水英斗 

 

 


本のサブタイトルに、ワンランク上の視点とありますが、上級者向けの内容ではありません。どちらかといえば、初心者の方が読みやすい構成になっていると思います。章の組み立ては、試合の流れに沿っています。試合前からキックオフ、そして試合終了までという風に時間ごとに見るべき点を解説する形になっています。扱っているのは、ヨーロッパサッカー、Jリーグ、代表戦と幅広く、サッカーの試合を見ている人なら、これらの内どれかは必ず見たことがあるのではないでしょうか。

 

 

サッカーの戦術本の中で、試合の時間軸に沿って試合の観戦ポイントを解説するものはあまりなかったのではないでしょうか。一つの起こった事象からどんなことが予想されるのかや、何が原因だったのかを深掘りしていますし、要点を得ているので読みやすく、脳内が整理されます。それがこの本の特長と言えるでしょう。

 

 


しかし、私がこの本の中で最も大きな特長であると感じるのは、サッカーのルールとレフェリングについて書かれているところです。他のサッカー書籍の中で、ルールとレフェリングに章を設けて解説しているのを、私は見たことがありません。

 

今サッカーは全世界で行われているスポーツです。サッカーが広く愛されている原因として、ルールがとても簡単であることが理由に挙げられたりしますよね。確かに、ボールとゴールを用意して、手以外を使ってボールをゴールに入れると言えば、ほとんど問題なくプレーできてしまうでしょう。

 

ですが、ルールが簡単ゆえに、きちんとルールを理解している人は少ないのではないでしょうか。たとえば、2014年ブラジルワールドカップの初戦のブラジル対クロアチアです。この試合は日本人レフェリーの西村雄一さんが、初戦という重要な試合で主審を任されるということもあって、覚えている人も多いのではないでしょうか。そこでの一つの判定が、大きな物議を醸しました。ブラジルの選手が相手ディフェンダーとの競り合いの際、相手ペナルティーボックス内で倒れ込んだのです。西村さんはPKの判定を下しました。

 

ですが、リプレー映像を見ると、ディフェンダーの手は確かにそのブラジルの選手の肩には掛かっていますが、強く力を入れているわけではなく、わざと倒れ込んだように見えました。この判定に対して、クロアチアサポーターは激怒。当時の報道によると、試合終了後、西村さんは空港で物を投げられるなどの被害にあったそうです。このようなこともあってか、その後、西村さんが試合の主審を務めることはありませんでした。

 

 

しかし、この本はこのPKという判定が正しかったということを解き明かしています。サッカーは体のぶつかり合いが発生するスポーツです。もし相手がケガをするほど激しくチャージしたのなら、それは罰せられるべきです。これはその行為の強度を見るジャッジです。これを行なうのが審判の大きな役割の一つですが、そのほかにも見るべきポイントがあります。それが、前述した例にも関わってくる、行為の有無を見るジャッジです。つまり、その行為が強いか弱いかではなく、あったのかなかったのかが問題になるということです。サッカーは手を使えないスポーツですから、相手の肩に手が掛かった時点で反則となるのです。倒れるほど強かったかは関係ありません。ですから、これを見逃さずに笛を吹いた西村さんはきちんとルールに則った素晴らしい判定をしたわけです。ルールに則った人が、ルールを知らない人たちによって批判、激怒されてしまい、西村さんが気の毒でなりません。

 


ルールを知ることは言うまでもなく重要なことです。この他にも知っているとためになるものがたくさん載っています。サッカー好きの方は、ぜひ読んでみることをお勧めします。

 

 

 
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